◆ 区分所有法とは?
● 分譲マンションについて言えば、各住戸部分は各区分所有者が単独所有するにしても、住戸部分のほかに躯体部分や壁のように、各区分所有者の単独所有とすることができない部分もある。各住戸部分は相互に密着していますから、これに伴う相互の権利関係を調整する必要がある。
また区分所有者は、一棟の建物を区分して所有する以上は必然的に建物およびその敷地等を共同して管理する必要があり、そのための機構や方法等について規定しなければならない。
区分所有法は、主としてこのようなことを定めた法律だ。
それでは、我が国において区分所有法はどのような経緯を経て制定されたのだろうか?
区分所有法は昭和37年に制定されました。規定された主な点については、次のとおりだ。
・区分所有権の対象の明確化について
・共用部分の範囲および所有関係について
・管理者・管理規約・集会等について
この区分所有法が規定された当初は、時代を先取りする立法だと考えられていた。
しかし昭和40年代に入り、区分所有の対象であるマンションが爆発的に増加すると、区分所有法が制定された当時では予想されなかったさまざまな問題が発生した。
例えば、当時は専有部分と敷地を別々に登記していたので、登記簿が複雑かつ膨大な量になることが多かったのだ。また、管理規約の設定・変更を行うためには、区分所有者全員の書面による同意を必要としていたため、管理組合運営に大きな障害になっていた。
さらに、管理組合について明確な規定がなかったため、その運営をめぐってトラブルが生じたり、悪質な区分所有者に対して適切な処置がとれないといったことが、しばしば起こった。
◆ 昭和58年に大改正
● そのため、区分所有法は昭和58年に大改正されました。 改正された内容としては、大きく2つに分かれます。
まず1つ目としては、区分所有の目的である専有部分と敷地利用権の一体化です。これにより専有部分の権利変動のみが登記用紙に記載されることとなり、登記上の合理化が図られた。
2つ目は、管理制度の充実です。具体的には以下の点が上げられる。
1管理組合の当然の成立
2全員一致から多数決主義への転換
3悪質な区分所有者(占有者)の排除
4特別多数決による建替えの実現
昭和58年の区分所有法は、昭和37年に制定された区分所有法と比較すると、現実に生じた問題の解決を中心として改正された。
そのため、区分所有法は昭和58年に大改正されました。
◆ さらに、平成14年度にも改正した
1. 大規模修繕も過半数の賛成で可能
2. 管理者(管理組合の理事長等)の権限が拡大
3. 規約の適正化
4. 規約および集会に関する規制
5. 管理組合法人の設立要件の緩和
6. 復旧決議の反対者が買収請求する場合の手続きの整備
7. 建替え決議の要件の見直しと手続きの整備
