◆ 火災保険
● 個人の一般世帯では、住宅建物を所有している場合、建物と家財それぞれに火災保険をかけている。マンション一棟など建物を丸ごと所有している賃貸物件オーナーや、分譲マンションの一室を所有するオーナーも、所有する建物部分についてそれぞれ火災保険をかけているだろう。そして、個人の一般世帯にとって大切なのと同様、賃貸オーナーにとっても火災保険は、不測の事態が及ぼす事業上のリスクに対する重要なリスクヘッジの手段だ。
● なお、建物一棟を丸ごと所有する賃貸オーナーの場合、専有部分や共用部分の区別なく建物全体に火災保険をかける。一方、分譲マンションを一室所有するといったオーナーの場合は、専有部分の建物について火災保険をかけ、マンションの管理組合が管理する共用部分は、管理組合で火災保険をかけることになる。いずれにしろ、賃貸物件オーナーがかけるのは建物の火災保険で、家財については入居者自身が火災保険をかけることになる。
● 昨今では地震や風水害をはじめとした自然災害が頻発している。オーナー自らがコントロールすることが不可能な災害で被害を受ければ、賃貸オーナーの所有物件には多額の修理費が発生することもある。さらに、借入金のある賃貸オーナーの場合には、所有物件が滅失して収入の手立てがなくなったとしても、借入金の返済義務はなくならないという、最悪の事態を招くことすらある。
◆ 支援金をもらえない場合がある
● そもそも、一定の災害で一般世帯が全壊等の被害を受けた場合、最大300万円までの被災者生活再建支援法による支援金を受け取ることができるが、一方で賃貸物件オーナーが賃貸物件に深刻な被害を受けても、支援金を受け取ることはできず、自力での再建が求められる。こうした厳しい状況に陥れば、その後の事業再建どころか、自身の生活再建についても、困難を極めることになるかもしれないので保険は必要だ。
